脳の中の人生


アハ体験でおなじみの茂木健一郎さんの本。


日常生活などの様々な出来事を脳科学的な視点でわかりやすく解説していて、面白かった。


人がギャンブルにはまるのは、脳が不確実性を好むから。


ケンブリッジ大学のシュルツ教授らの研究では、サルにジュースを与える場合と、2回に1回しかジュースがもらえない場合のドーパミン放出を調べると、ジュースをもらえたときだけでなく、ジュースをもらえるかどうかわからない場合にもドーパミンが放出された。つまり、ジュースがもらえるかどうかわからない不確実性に対してもサルの脳はうれしいと感じるらしい。


不確実さを好むということは新しい道を探索することにつながる。いつも同じ場所で食べ物を取っていては発展性がない。私たちの祖先は不確実性をとることで様々な可能性を発見してきたのだろう。


ほかにもいろいろな話が紹介されているが、自分としては以下の話が印象的だった。


アメリカのカリフォルニア工科大学は規模は小さいが過去にノーベル賞受賞者を30人も出している理系の名門中の名門である。
そのキャンパスを歩いてみると、根を詰めて勉強するという雰囲気は全くなく、色とりどりの花が咲き乱れてまるでリゾートのようだという。


やるべきことをやるのはもちろんだが、人生を楽しむことが重要で、創造性はそういうところで育まれるのだ。


とても人生を楽しんでいるとは思えない、片田舎の地味な理系大学で研究をする身としてはうらやましい話である。