Joel on Software

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Joel on Software

マイクロソフトの開発者である著者が、自身のブログ*1記事をまとめたエッセイ集。

プロジェクトマネジメントを中心として、ソフトウェア開発に関する様々なことについての彼の考えがユーモアと毒舌たっぷりに語られている。電車の中で読んでいて思わずニヤニヤしてしまった。こういう読み物は大好きだ。


どこをとっても非常に面白いけれども、中でも1番を上げるとすれば、仕様書についての記述だろうか。

仕様書について大きな問題となるのは、しばしばそれを誰も読まないことであり、なぜ誰も読まないかといえば、それがあまりに退屈でつまらないからだ。

そこで、著者は仕様書を読んでもらうために従わなければならないルールとして次の5つを挙げる。

  • ルール1:可笑しくすること
  • ルール2:仕様書を書くのは頭が実行するコードを書くようなもの
  • ルール3:できる限り分かりやすく書く
  • ルール4:何度も見直し、読み返す
  • ルール5:テンプレートは有害である

とくにルール1については、「その発想はなかったwww」である。

例えば、機能の説明を普通だったら

ユーザはCtrl+Nをタイプして新しいEmployeeテーブルを作成し、従業員の名前を入力する。

と書くところを

ピギー嬢は、彼女のまるまるした小さな指が太すぎて個々のキーが押せなかったので、アイライナーの柄を使ってキーボードを突っつき、Ctrl+Nとタイプして新しいBoyfriendテーブルを作成し、レコード"Kermit"を1件だけ入力した。

と書けと言うのである。
冗談のように聞こえるが、著者は本気である。その証拠に、このようにも述べている。

そして、もしあなたが、陽気で可笑しく、読んでいて楽しい仕様書を軽蔑されるような会社で働いているのなら、別な働き場所を探すことだ。人生はそんないかめしく惨めな場所で日中を過ごすには短すぎる

さて、そんな仕様書が書ける会社が日本にいくつあるだろうか。

しかし、仕様書が退屈でつまらないというのはありがちな問題であり、それがこのような形で解決できるのなら、ソフトウェア開発現場の未来は明るいものになるだろう。


読書課題、残り94冊。