3時間で「専門家」になる私の方法
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/09/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「次世代ウェブ」(asin:4334033857)や「フラット革命*1」(asin:4062136597)の著者で、ITジャーナリストとして知られる佐々木俊尚が情報収集・整理術について書いた本。
著者は元毎日新聞記者であり、アスキー編集部を経てフリージャーナリストとなった人である。
新聞記者や雑誌記者といったジャーナリストは言わば「情報収集の専門家」であり、とくに著者はIT分野を対象として記事を書いており、ネットというものを非常にうまく利用している。
そういう人がウェブ時代の情報収集について書いた本書が役に立たないわけがない。
かつては知識というのは稀少な存在であった。そういう時代における情報収集は、「いかに自分のところに情報を蓄積するか」ということが第一であった。
しかし、ネットがこれだけ身近になり、情報がすぐに手に入る時代においては、「いかにそれらの情報を分析・整理して目的を達成するか」ということの方が重要になってくる。
本書によれば、ネットを使えばたった3時間である特定のトピックについての「専門家」になれるという、それはあくまで括弧付きの「専門家」であり、その道何十年の本当の専門家にはかなわないけれども、そのテーマのについてのクオリアを得、人を納得させるのに十分なレポートや企画書などを作成することができる。そのような能力は今の時代にあって、むしろ本当の専門家になるよりも有効かも知れない。
ネットを使った情報収集は我々が普段何気なくやっていることで、本書に書かれている内容自体、それほど真新しいことはないのだけれど、日常的にやっていることに対して考察や批判を加えて体系化しているという点で、本書は非常に役に立つ本だと言える。
高校でワードの使い方なんて教えるよりも、この本を教科書にして情報収集のやりかたを教える方がずっと有意義なんじゃないだろうか。単にアプリケーションの使い方を教えるよりも、そちらの方がずっと「情報」という科目名にはふさわしいと思いますよ?
残り97冊。
*1:これも読んだのでそのうち感想書きます。